先日「財政破綻というオオカミ」と題したブログ記事でみずほ総合研究所が編集した「ソブリンクライシス」という本を紹介しました。これは前にもコメントしましたが、財政破綻を警鐘する本の中でも非常に冷静で、中立的分析をしているものと紹介しました。
さて、今日はこれと正反対に、かなり過激な表現で財政破綻の可能性を指摘した「国家破綻本」を紹介します。
「国債大暴落の恐怖 -生活破綻を回避する道はあるのか」(堀川直人著、PHP研究所出版、 1300円)とタイトルからしてかなり過激です。
ただし、この著者はファイナンスの名門ペンシルバニア大学ウォートンスクールのMBAも取得しているので、経歴を見る限りかなりまともな方のようです。ただ表現があまりに過激と言わざるを得ません。
一部引用します。(二人の対話形式で書かれている)
「国債の暴落で、破綻する金融機関が出てくると思うんでが、最初に破綻するのは、どのあたりですか?・・・・客観的に見ると「ゆうちょ銀行」だろうね。なにしろこの銀行は国民から集めた300兆円の預金の8割を国債に投資しているんだよね。・・・かくして預金を下ろしにくる顧客の支払いに苦慮するようになる。一つの支店で預金が不足し、支払いがストップすると、その噂はたちまち全国に広がり、各地の支店で取り付け騒ぎが始まる。・・・怒り狂った暴徒(預金者)は鉄パイプや金属バットと振り回して手当たり次第に構内の器物を破壊し始める。やがて行内から黒鉛が上がり始める。・・・
(その対策として)破綻しかけた銀行に、日銀が無担保、無制限の融資を行うと宣言したらどうなりますか?・・・・・・その場合には取り付け騒ぎはないし、ゆうちょ銀行本店ビル襲撃もなくなる。・・国民は直感的に、政府はインフレ政策を取り始めたな、と考える。インフレになればお金の価値は下がる。その上銀行はいつ破綻するかわからないから、とりあえず預金を引き出して、ほかのものに換えておこうと考える。・・・1500兆円の預金が市中に出回ることになる。・・大部分の国民や企業はこう考える。この国は今後とうなるかわからないから、円で持っていると危ない。本当にインフレでも起きたら、戦後のようにすべてパーになってしまう。いっそのこと資産を海外に避難させておこうということで、円をドルか金に換えておこうとする。・・海外に口座が開設される?それは当たり前だよ。問題は1500兆円の円が売られ、ドルか金かユーロと交換されることだ。・・・・円の投売りが始まる。円は底なし沼に引きずられるように、ズンズン円安になる・・。」
いかがでしょう。
ただ、ギリシャ危機でも労働者(公務員)が火炎瓶を投げるくらいのことはしていたので、血の気の多い人ならゆうちょを襲撃するくらいのことはするかもしれませんね。ほんとに預金の引きおろしを拒否された場合は・・??
全体を通した破綻のロジックは他の財政破綻本とさほど変わらないと思います。書かれたシナリオが現実化する可能性もそれなりにあると思います。また、著者オリジナルの破綻回避の政策も建設的に提案されています。ただ全体を通じ描写があまりにSFちっくということです。
先のみずほ総合研究所の書籍はかなり専門的に書かれておりあまり一般向けではありませんが、そういう意味では、こちらのほうが読みやすいです。
また、残暑厳しいこの季節には丁度いいかもしれません。