ご存知のとおり、これから日本は世界でどの国も経験したことのない、急速な少子高齢化時代へ突入します。財政、年金、医療、経済停滞など困難な問題が山積みです。まさに社会・経済の「日本沈没」に瀕しています。日本国と心中しないためにも海外投資、グローバル投資を避けて通れない時代です。
これは長期的な低成長の時代であり、それに連動した長期の円安トレンドの時代です。現状ではサブプライムショックの影響で円高局面を迎えていますが、将来の人口の減少や国内市場規模の縮小と、為替相場には大きな関係があると考えたほうが自然であり、いずれ円安トレンドに戻ってゆくでしょう。 (事実2007年後半からのサブプライムショップ直前までは、円の実効レートは21年ぶりの安値となっていました。)
この状況は、よく1960年代のイギリスに例えられます。それまで繁栄を極めたイギリスでしたが、いわゆる英国病に陥り、その後台頭したアメリカや日本の経済力に圧倒され、イギリスの通貨であるポンドはその後対円で900円台から130円まで下落する場面もありました。実に1960年台の1/8の水準です。(その後は、逆に日本の低成長と円の超低金利政策により200円以上まで回復したのは周知のとおりです。)
ブリティッシュ・ポンド(対円): (出所 ブルムバーグ)
また巨額の財政赤字が、更に大きな問題を引き起こすと予想する専門化もおります。1990年代から2000年初頭に起こったロシア、トルコ、アルゼンチンの財政破綻にともなう通貨暴落、ハイパーインフレ、そして預金封鎖です。
ロシア・ルーブル(対ドル): (出所 ブルムバーグ)1ドル2ルーブルが32ルーブルにも・・
トルコ・リラ(対ドル): (出所 ブルムバーグ)1ドル0.0012リラが1.7リラにも・・
アルゼンチン・ペソ(対ドル): (出所 ブルムバーグ)1ドル1ペソが3.8ペソへ・・・
今回のサブプライム危機でもアイスランドが債務不履行を経験するに至りました。
もちろん日本の場合は、基礎経済力がこれら国と圧倒的に異なるし、景気回復により債務の返済が進む可能性もあり、現時点で過度に悲観的になる必要はないとは思います。だからといって楽観視するのも禁物です。財政問題、年金問題、医療問題など何の改善の兆しもないからです。更に今年10月の一連の景気対策による財政出動により、2011年までのプライマリーバランスの均衡化も危うくなっています。近い将来、再度日本の巨額の財政赤字問題が表面化することでしょう。
(財部誠一の借金時計ご参照)
ハイパーインフレ、預金封鎖は現時点では非現実的かもしれません。しかしながら、この自己責任時代に、我々は自らの資産をジャパンリスクから、ある程度防衛、ヘッジする必要があるのは事実でしょう。 あなたの資産がすべて日本の資産、円資産であったら、あなたはまさに経済、社会の「日本沈没」に巻き込まれつつあります。
「円建て人生」「国際分散投資であなたの資産をヘッジしよう」と言うと、多くの方は「私はたいした資産をもっているわけではないので、そんな必要ないのでは・・・」と言われます。
そうでしょうか? あなたを資産と考えた場合、ほぼ100%の円建て資産です。日本人の生涯賃金(大卒男子平均)は約3億円(退職金は除く)と言われます。つまり社会人スタート時にすでに3億円の円リスクを負っているわけです。当然、言語が堪能で、他通貨の収入を稼ぎ出す能力、機会のある方は、いざとなれば他国で働き他通建ての収入を得ることが可能かもしれません。
しかし、日本で生まれ、日本語が第一言語で、日本の会社に勤務しているほとんどの方は、ほぼ100%の円リスクを負っているわけです。
それではもう退職された方あるいは退職間近な方はどうかというと、やはり円建て100%です。当然、当初退職金は円で支払われます。もっと大切なことは、将来死ぬまで払われる年金もすべて円建てと言うことです。現在50歳程度のサラリーマンが生涯(平均寿命まで)受給できる厚生年金(基礎年金を含む)は5,000-6,000万円と言われます。(厚生省試算) これは泣いても笑っても円建てです。
つまり、現在資産の少ない若いサラリーマンの方でも、総額3-4億円の円リスク、ジャパンリスクを保有しているわけです。大幅な円安は、年金の受給権を含めたあなた自身の資産価値を大きく目減りさせます。
もちろん日本で生活する以上、生涯のすべての期待収入を今時点でヘッジする必要はありません。ただし、一生涯において大きな円リスクを保有している認識を持ち、早い段階からある程度の資産防衛をすることが重要だと考えられます。サブプライム問題の余波で円高局面を迎えている今は、その絶好のチャンスとも言えます。
円安リスクと言っても、海外移住などを計画している場合は別として、具体的にどんな実害があるか実感がわかないかもしれません。海外旅行は少し割高になるし、ブランド品の価格はあがってします。これらを少し我慢すれば何とかなると思われがちです。
しかし、大幅な円安は我々の生活に想像以上の悪影響を与えます。最も大きな影響が、インフレです。円安は輸入物価を上昇させます。(コストプッシュ・インフレと言います)
例えば食料品だけをとってみても、日本の自給率は約40%です。つまり60%は輸入に頼っているわけで、円安になれば食料品価格の上昇につながります。これは我々の生活にダイレクトに影響を与えます。エネルギー自給率にいたっては5%程度と言われます。
食料自給率: (出所 農水省)
さらに恐ろしいのがハイパーインフレです。財政破綻などをきっかけとして、通貨の暴落と2桁台(あるいは3桁台)のインフレが同時進行する最悪のシナリオです。
日本と同様に巨額の財政赤字を抱え、それが破綻した結果、通貨の暴落、ハイパーインフレの起きた、トルコ、アルゼンチン、ロシアの例は有名です。
アルゼンチン消費者物価指数: (出所 ブルムバーグ)2003-2004年には40%にも
トルコの消費者物価指数: (出所 ブルムバーグ)2002年には30%、それ以前には100%にもなったという
日本の場合、そこまで事態が深刻になるか議論の分かれるところですが、何が起こるか予想不可能なこの市場経済において、ある程度の想定をしておくことはリスクマネージメントの観点からとても重要なことだと考えます。備えあれば憂いなしです。
少し専門的になりますが、現代(モダン)ポートフォリオ理論によると、外国資産をポートフォリオに加えることにより、リスク分散効果が高まり、投資の有効フロンティアを広げられることが実証されています。
下図を簡単に説明しますと、通常単一資産クラス(例えば株式のみ、債券のみ)のリスクとリターンの組み合わせは直線で表現できます。ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンなどの関係はこの直線上にプロットされます。
一方複数資産(国内資産)の組み合わせは、通常この直線より高い位置にプロットされることが、実証されています。これは1990年に米マーコビッツ教授がノーベル経済学賞を受賞した現代(モダン)ポートフォリオ理論の基礎となるものです。これが有名な「有効フロンティア」曲線です。
これに外国資産を加えると、フロンティア曲線はさらに上方へシフトすることができ、より良いリスクとリターンの組み合わせを実現することができるのです。
海外資産組入れの効果: 同図はリスクを基準としてリターンを比較したものです。逆にリターンを基準として3パターンを比較した場合、海外資産組入れアセットミックスが最小のリスクを実現します。(縦軸のリターンをある点で固定し、横軸で3者のリスクを比較する。)
つまり、海外資産をポートフォリオに加えることにより、同じリスクに対してより高いリターン、あるいは同じリターンに対してはより低いリスクの組あわせを実現することが可能になるわけです。これが国際分散投資の理論的な裏づけです。

実は、これが暮旅インベストメントが海外投資をすすめる最も大きな理由かもしれません。元来、暮旅は主にセカンドライフにおける海外ロングステイや海外移住というライフスタイルを提案してまいりました。
「その夢を実現するためのベストなマネープランは?」と考えた場合、滞在までにその滞在国の為替や資産に投資するのが最も合理性があるからです。なぜならプラン実行までにその国の通貨や物価が予想以上に上昇してしまうと、その夢は「絵に描いたもち」になってしまいます。ロングステイプランのヘッジというわけです。
特に最近の滞在人気国はマレーシアやタイなどの成長力の高い新興国なので、通貨、物価上昇の可能性はかなり高く、投資対象国としてもで魅力があります。
もう一つの利点は、仮に投資タイミングを多少間違ったとしても、滞在予定国の通貨であれば、最終的にはその国で消費、あるいは再投資することができるため為替差損が発生しません。むろん、ベストなタイミングで買えなかったという機会損失は生じますが、暮らしてみたい国へ投資して最終的にその国で消費するわけですから心理的にも納得できるはずです。(むろん予想通り収益が上がれば、円に転換して国内に還流することも可能です。)
例えばマレーシアのコンドミニアムへ投資するアイデアです。ロングステイ(移住)希望者は事前に通貨と物価を同時ヘッジできるわけですから、トータルとしてのヘッジ効果は高いでしょう。プラン実施までの期間は、賃貸に出し、退職後は実際に別荘(または本宅)として利用するという方法です。
実際同じ発想で、10年以上も前にオーストラリアやニュージーランドのコンドミニアムを購入移住した方は、通貨の上昇(豪ドル、NZドル)とコンドミニアムの価格上昇の両方のメリットを受け資産を2倍、3倍と増大することができました。今では海外資産を売却して、逆に割安となった日本へ逆流している人もいるようです。そうなれば、逆に日本で悠々自適な生活ができるわけです。
海外投資、国際分散投資をしておけば、そんな「経済合理性」にしたがって居住地を変える、という柔軟性を確保することも可能になるわけです。